COLUMNコラム
 

          
第6回 (2001年3月10日)
「アドリアーノは、早く帰ってもらおう」


■トリオ芸

  アドリアーノ、絶対に絶対にいらない。
どれほどの技術があるのかは知らないが、
この前のロスアンゼルス・ギャラクシー戦を見て、
また今季開幕戦を見て、2試合でそう確信できた。
残念ながら仕事で土曜日に名古屋に行くことはできず、やむなくテレビ観戦。
しかし、嬉しかったな、NHK総合での全国中継だ。
J2時代は地上波どころか、NHKの衛星ですら放送はなかったからね。
嬉しさに浸りつつ、試合に集中していると、また試合内容が嬉しがらせてくれる。
さすがにJ1だな。引いて守ったりせずに名古屋もガンガン攻めてくれる。
ストイコビッチなんて、
ボールを持つたびにどこにキックするかワクワクさせてくれるんだから、
こりゃまぁJ2では味わえない醍醐味だ。
しかし特にスーッと夏のビールのノド越しみたいな気持ちよさで
ウッキウキ気分になったのが、15分ごろだったか。
サイドをググーッとトゥットがついてゴール前にやってきて、
岡野をスルーして小野がシュート!
はじかれたところをもう一度倒れこみつつのシュートを放ったシーンだ。
トゥットのスピードとボールを持った時のキープ力の強さ、
岡野のやみくもな足の速さ、
小野の技術とゴールに対する執念の
三人三様のキャラクターの違いが明快に出ていて、
トリオ芸のある種の極致を見る思いだった。
このトリオがかもし出す濃厚な味わいは
全盛期のかしまし娘やシブがき隊でもかなわない。
NHKの解説もなかなかよかった。
攻めあうので、岡野が走りこむだけのスペースがいっぱい出来る。
まさしく岡野は水を得た魚。そこでアナウンサーが一言。
「岡野の水はスペースですね」
 しばしば小野と岡野の呼吸が合わない場面はあっても、
どちらも何とか歩み寄ろうとする姿勢があるのだから問題はない。
実戦を積んでいけば、そのうち克服できるはずだ。

■トゥットとアドちゃん

トゥットもいいな。かつて私はブッフバルトを将棋にたとえると飛車だ、といった。
後ろでじっくり守りつつ、すきあらば前に走って縦横無尽に動きながら、
チャンスがあればゴールまで決める。
トゥットは、ちょうどその逆だ。
前にいながら、気が付くと後ろで守りに加わり、
またいつの間にか前に戻ってゴール前で敵DFをかわすドリブルを決めてくれる。
その前後左右への大きく素早い動きは
「レッズの飛車」
というに相応しい。
香車のように一直線に強い岡野と、
金と桂馬が合体したような技と意外性を持った小野がからめば、
これからも楽しい攻撃が繰り広げられそうで、
この一年が一気に豊かな気分になれる。
得点が入らないのが残念ではあったが。
ところが、後半20分近くなったところで岡野がアドリアーノに替わった途端、
その楽しいバランスが瞬く間に崩れていく。
テレビのバラエティ番組でもしばしばあるのだ。
ウケようとベラベラしゃべりまくるタレントが登場するのだが、
まわりとフィットせず、そいつがムキになってしゃべればしゃべるほど、
その場の空気が寒くなっていくことが。
そういうタレントって、だいたい昔は少し売れたことがあるタレントで、
本人は今でも明石家さんまやダウンタウンにも負けないくらい面白いと勘違いしている。
その妙な自信が裏目に出て、どんどんまわりから浮き上がっていくのだ。
アドリアーノが、まさにそれだ。まるで自分が主役のように攻撃したがり、
FKになればキュプテン小野をさしおいて自分が蹴ろうとする。
あんたはジーコか! ドゥンガか! レオナルドか!
それほどの実績もないくせに、いきなり主役になろうなんて、百年早いわ!
それとも日本のサッカーなんてレベル低いと、よっぽどナメてかかっているのか。
彼が出てくるとますますトゥットは守備の負担が強くなり、
小野に回るべきボールも回らなくなる。
もしテレビのプロデューサーなら、過去がどうあれ、
つまらないと思ったタレントはとっととクビにする。
アドリアーノ出す余裕があるなら、
「忍者」田中を出せ!


皆さんの感想が山中さんのモチベーションとなり次のコラムとなります。
是非とも感想は「山中伊知郎コラム感想掲示板」までお願いします。
(山中さんも見て、書き込みをしております)

<無断転用・転載を禁じます> 

『浦和レッズは負けない』
 浦和レッズJ2降格、衝撃の11・27
浦和レッズが厳しい試練を乗り越え、
さらなるビッククラブへと発展することを願って、
今、この本を贈る。
山中伊知郎、渾身の一冊。
「浦和レッズは負けない」
*浦和の書店中心に好評発売中
 定価:1400円+税  発行元:ザ・マサダ


        
山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

●「山中伊知郎は語る レッズよ、勝て!」TOPへ
このコーナーへのご意見・ご要望・ご質問は下記までお寄せください。
e-mail :kaname@uragi.com
        

浦議TOPへ