COLUMNコラム
 

          
第80回 (2004年6月16日)
「つまらないトリオ・コント」


6月16日  △1−1  柏レイソル(駒場)
 
はっきりいって、90分間、つまらないトリオのコントにずっとつき合わされていた
ような試合だった。この前のグランパス戦を引きづってたのかもしれないが、こんな
試合を見せられたら、千円くらい金返してくんない? とついグチの一つも出る。
  最初に「トリオ」って言葉を出したのは、レッズもいい加減ヒドいが、相手のレイ
ソルもヒドいし、さらに審判がヒドかったからだ。三位一体でヒドかった。
  レッズの情けなかったところ。特に前半。30分くらいたって、私の真後ろの席にい
た男性が、思わず、
「あれ? まだ一本もシュート打ってないんじゃないの? サイアク!」
 とつぶやいたことでも象徴されるような、無気力な攻め。後半はちょっとは持ちな
おしたものの、いっくらでも逆転できるチャンスはあったのに、ぜんぜん決められな
いんだもんな。優勝の可能性もなくなって、どこか「適当にやりゃいいや」という感
じが全体に漂っていた。
  レイソルの情けなかったところ。いくら最下位争いで勝ち点1が欲しいからって、
選手入れ替えたり、キーパーがゆっくりプレイしたり、最後で時間つぶすなよな! 
勝ってるならともかく、このごに及んで引分け狙いとはみっともない! 試合全体に
もその消極姿勢が一貫していて、なかなかスリリングなシーンが生まれない。
 主審の情けない所。とにかく気が小さいらしく、やたらと笛を吹く。ここで早くリ
スタートすればゴール前の攻防までつながる、って手前のところで笛吹いて止める
シーンがいくつもあった。勘弁してくれよ、もう。私ら、あんたの笛の音を聞くため
に駒場に来たわけじゃないんだから。
  ちょっと話しは飛ぶが、トリオのお笑いっていうのが、どういうパターンがあるか
を簡単に解説する。大まかにいって、二通りであり、ツッコミ、第二ツッコミがいて
ボケがいる、というのがまずひとつ。たとえばツッコミが「この前、手が切れるよう
なお札に触ってさ」といえば、第二ツッコミが「手が切れるなんて、まるでお札にカ
ミソリでもついてるみたいだ」とフォローした後、ボケが「イテっ、ホントにカミソ
リがついてる」とカミソリのついたお札を出してみせてオトす。
 もう一つが、ツッコミ一人で、小ボケ、大ボケとボケが二人いるタイプ。たとえば
「手が切れるようなカミソリに触ってさ」とツッコミがいえば、小ボケが「イテっ」
とカミソリのついたお札を出したら、「オレのにはこんなのがついてる」と、札束に
出刃包丁がついてるのを出して見せてオトしたり。
  サッカーの場合は、このボケとツッコミの関係が瞬時に変わっていくと思うが、ど
うであれ、トリオの芸は、その三人のうちのひとりでも劣った人間がいると、芸その
ものが、一番劣ったやつのレベルに下がってしまう。サッカーも同様なようで、誰か
レベルの低いヤツがいると、もう白熱した好試合は望めない。
  今回の試合は、どうも、トリオでいえば大ボケとツッコミの橋渡し役である「第二
ツッコミ」ないし「小ボケ」の役を担う主審のセンスのなさが致命傷だった気もす
る。でもボケとツッコミがめまぐるしく変わるスペクタクルが見所であるはずの両
チームが、あまりちゃんとそれをやってなかった事実は見逃せない。
  もうこんな試合、見せないでね。


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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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