| COLUMN●コラム | ||||
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第79回 (2004年6月5日) 「闘莉王はサッカーの本多平八郎?」 6月5日 ○3−0 清水エスパルス(駒場) 6月上旬のサッカー界は、とにかくイベントが多過ぎる。フル代表の試合がイング
ランド戦からインド戦から立て続けにある上に、五輪代表の試合も立て込んでるし、
U−19の試合まである。お陰で、きょうの朝、新聞を見るまで、ナビスコカップの
試合があるのをうっかり忘れてた。坪井も三都主も、達也も闘莉王もみんな忙しいの
に、レッズの試合はやらないだろう、と勝手に錯覚していたのだ。きのう、帰りが遅
くて「GGR」も見てないし。
つまりそれだけ、レッズに代表の選手が多いってことで、とりあえず、他のチーム
のサポーターに対して、自慢のタネとして使うつもりだ。とにかく、夕方に入れてし
まった予定を午後1時に変更して、駒場に向かう。
強いからか、季節がよくなったからか、ナビスコカップでも観客が集まる。4−5
年前なら、リーグ戦はともかく、ナビスコなら1万3−4千人いれば上出来だったの
に、今期はリーグ戦同様2万近く集まるからな。お陰で試合開始30分前についても、
なかなか自転車の置き場が見つからなくて困る。私が置いているのは原山の市民プー
ル側なのだが、そのうち、ギリギリになると置けなくなって、シャトルバスのバス停
側に回らなくてはならないかもしれない。
試合内容は、これはもう文句なし。まるでJ1の上位チームとJ2チームの対戦み
たいで、そもそも最初から負ける気がしなかった。パスもスムーズに通るし、ドリブ
ルもスイスイ抜けるし、3点止まりだったのが不思議なくらい。
レッズの強さという以上に、エスパルスって何でこんなに弱くなっちゃったの?
と気の毒になってきた。Jリーグスタートの93年、初めてエスパルスに勝った時は
「番狂わせだ」と世間も騒ぎ、私たちも「力」の前の路上(今の場所じゃなく、前の
場所の「力」)
でビールをかっくらいながら、「エスパルスに勝った!」ってドンチャン騒ぎをした
ものだ。あれも今は昔。すっかり力関係も変わってしまった。
エメと坪井と三都主と、三人も主力選手がいないのが気にならないなんて、昔の
レッズでは考えられなかった。福田とバインとブッフバルトが抜けたらチームはほと
んどガタガタだもんね。
達也、闘莉王、岡野と、得点を決めたのも、揃って他のチームにはいないキャラの
濃いメンバーだ。どんどんタレントが増えてしまって、逆に困っちゃうな。ナビスコ
の決勝だの、チャンピオンシップだの、シーズンチケットでは入れない試合が増え
て、チケット入手がますます困難になって。収容能力10万人くらいのスタジアムをど
こかに作って欲しいくらいだ。
今年の、ことにここ数試合のレッズは、とにかくまず第一にテンポがいい。かつて
は、必ず一試合の中に数十分、ダラーッと間延びした時間があったのだ。また、そう
いう時間が長ければ長いほど、チーム力は劣る証でもある。
漫才なんかを見てても同じことで、面白い漫才コンビは、一見、ダラッとしている
ような瞬間でも、しっかりはりつめた緊張感がある。意識して、笑えるスキを作って
いるだけなのだ。ところがつまらない漫才は、一生懸命「間」を作らないようにしゃ
べっていても、かえって単調でダラッと間延びした印象が残る。頑張ればいいっても
んではないのだ。要はメリハリ、「押し」と「引き」の呼吸がうまいかどうかなのだ。
試合を見ていると、そのレッズのテンポ、メリハリを主に作っているのが闘莉王で
あるのがわかる。スキがあれば前に出て、危ないボールのクリアは思い切り高くボー
ルを蹴って、前線の選手がいいポジションにいるとみると、一気にロングパスでチャ
ンスを演出して、コーナーキックの時にはかかさずゴール前にやってきて、DFの際
のヘディングの競り合いも決して負けない・・・。闘莉王の動きの中には、あざとい
までにオーバーなアクションがあって、それがチーム全体のアクセントとなり、間延
びした時間をすごすのを許さない。
へんなことを思いついた。かつて司馬遼太郎の本を読んでいたら、その中に徳川家
康の部下で本多平八郎という武将の逸話が出てきた。その本多平八郎、何十回となく
戦場に出たが、ほとんど薄い鎧しかつけていないのに、ケガもせずに必ず手柄をあげ
る。まさしく戦場における呼吸を生来身につけていて、自然に体が動いてしまうタイ
プらしい。いわゆる「動物的カン」が優れているわけだ。
この本多平八郎と闘莉王が見ていてダブるのだ。DFがあんなに前に出たら守備の
時に戻れないんじゃないか、と勝手に心配して観察してたら、別に、そんなに全速力
で戻るわけでもないのに、危ない場面になると、ちゃんと守っている。自然に「サッ
カーの呼吸」がわかってる感じなのだ。まったく、闘莉王の動きを見ているだけでも
90分飽きない。
これでもし小野なんかが戻ってきたひには、「日本のレアルマドリード」というよ
り「アジアのレアル」だ。
いやしかし、そうなると、アジアチャンピオンズリーグや世界クラブ選手権のチ
ケットまで入手しなきゃならないんだから、これはやっかいだ。
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