COLUMNコラム
 

          
第78回 (2004年5月22日)
「自信がトップチームの風格を生む」


5月22日   ○3−1  東京ヴェルディ1969(味スタ)

  値段が1969円のバックスタンドの「1969シート」は、3分の2がレッズ・
サポで残りがヴェルディ・サポか。いつもよりヴェルディの応援席がガンバッてるの
が意外だった。
「おいおい、あんなにヴェルディがいるぜ」
「FC東京並だよな」
 とレッズのユニフォームを着た隣りの若者二人組が驚いてたくらい。何か理由があ
るのかな? まさか、ハーフタイムにやった抽選会目当てではないだろうし。
 でも、あの一等に当たれば「セリエA観戦」が出来る宝くじみたいな抽選会、なか
なか盛り上がった。私も、入り口でもらった番号札捜して、ポケットからカバンから
そこら中チェックしたくらいだったから。ああいうことは、埼スタか駒場でやってく
れてもいいのではないか。おちおちトイレに行ってられなくなるのがちょっとツラい
が。
  私が味スタについたのが、試合開始20分前。すでに先発メンバー発表はすんでし
まったらしかったのが、残念なことのひとつ。売り歩いていたヴェルディのポケット
ガイドをレッズのマッチデーと同じようなものだろうと思って買ったら、レッズのこ
とがまったく載ってなくてガッカリしたのが、残念の二つ目。500円も払って、
しょうもない買い物をしてしまった。
  だが、そんな些細な残念を打ち砕くほどに、試合はスカッとした快勝だった。
  もはやヴェルディとはチームとしての風格が違う。
 ヨーロッパあたりでも、同じリーグのトップチームと下位チームの闘いの時は、ど
ことなく、両チームが発するオーラがまったく違って見えることがある。
 お笑いタレントなんかもそうなのだ。たとえ顔を知らない若手でも、ただ登場した
瞬間に、「こいつは笑わせてくれるな」「こいつはダメだろう」とピンと来たりす
る。で、多くの場合、それは的中する。
  たぶん「自信」が体全体にみなぎっているかどうか、なのだろう。同じギャグをぶ
つけても、自信満々にやれば客は笑うが、不安げにコワゴワやると笑わない。くりい
むしちゅうの有田なんて、今は自信満々だから、何をしゃべってもオカシい。
 このお笑いの法則はサッカーにもそのまま当てはまる。オーバーアクションの
トゥーリオはもとより、啓太も達也も、山瀬も、坪井も、みんなどこか自信ありげな
のだ。反対にヴェルディの選手たちは攻めの形は作っているくせに、どこか自信が感
じられない。だから二度も三度もボールをバーに当てて点を取りそこなったりする。
森本なんて、ダッシュはいいのに、ゴール前で迷ってるし。
  あれは、運が悪いからじゃない。どこか自信に裏打ちされた思いきりのよさがない
のだ。達也を見てみなさいよ。思いきりのよさだけで2点とってしまったではない
か。交替前のケガの具合がちょっと心配だけど。
  とにかくエメルソン抜きでも、これだけ「トップチームの風格」を見せられたのが
大きな収穫だった。エースが抜けてもチーム力がそう変わらないなんて、Jリーグス
ター以後のレッズの歴史をみても、あまりなかったのではないか?
  はからずもヒーローインタビューで岡野も言ってたではないか。
「レッズは昔から、ここぞという時に負けるチームでしたから」
 そうだった。よく、ここぞで負けてた。でも、もう違う。主力選手が何人か抜けて
も実力の落ちないチームに勝負弱さはない。
  数字的には第1ステージの優勝はキツそうだが、主力のケガが3−4人以内なら、
第2こそイケそうな気がする。
  帰り、あえて新宿回りではなく、分倍河原から府中本町経由で東浦和に行くルート
を選んだら、京王線と南武線は大混雑。でも、勝って帰る時は、ラッシュもあまり気
にならないものだな。


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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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