COLUMNコラム
 

          
第74回 (2004年3月27日)
「坪井もキャバクラ行ってりゃよかった」


3月27日  ●2−3  大分トリニータ(駒場)

今年のレッズに対する期待の大きさは、自転車置き場をみればすぐにわかる。
  いくら春休みとはいえ、ナビスコの予選で、しかも相手が大分なら30分前に来ても
置けるスペースはけっこう残ってるだろうと思ってたら、とーんでもない。いつもの
リーグ戦の試合より自転車やバイクの数が多いくらい。
 さらに自転車を降りて、駒場の第6ゲートに行くと、入場に長い列ができてる。こ
んなことは今まであまり記憶がないくらい。達也、啓太のオリンピック組の復帰が盛
り上がりの原因なのだろうか? 少なくとも、大分の先発で顔と名前が一致する選手
がまったくいないのだから、相手チームが客を呼んできてくれたわけではない。
  1万8千人以上集まった観客の99%は、エメと達也がボコボコと2、3発づつくら
いを決めての快勝を予想したことだろう。ところが、フタを空けたらとんでもない展
開になってしまった。試合が終わった帰りがけ、前を歩く若者が、仲間に言い放った
この一言が忘れられない。
「坪井もキャバクラ行ってりゃよかったんだ」
  それを言っちゃおしまいだよ、とツッコミのひとつも入れたくなるが、はっきり
いって言いたくもなる。特に前半、たった一人、DFの柱が欠けるだげでこんなに守
備がボロボロになるものかと、口をあんぐり空けたまま閉じられなくなってしまった。
  大分の前線の飛び出しに対応できないんだから、弱ってしまう。ゴール前のヘディ
ングでも、完全に競り負けている。だいたい、ひとり、体格的にもガッチリとしてい
て、どんな相手が来ても体ではね返すような、まさしく壁みたいなDFが欲しい。そ
の姿を見るだけで敵が逃げ出しそうな「こわ持てタイプ」。ニキフォロフがケガで、
そういうタイプがいないっていうなら、ギド監督自身が出ればいいくらいだ。
 DF的にはみっともない試合だったが、実はけっこう楽しめる部分も多かった。エ
メの鋭いドリブルからの抜く手を見せぬシュートにつながる流れるようなボールさば
きは心地よかったし、それ以上に、途中から出た岡野の健在ぶりが嬉しくなった。
 久しぶりに見た。岡野得意の、「セルフ・パス」を。敵のDFに前をふさがれた彼
が、味方選手が誰もいない前方スペースにパスを出し、そこに自分が走ってたどりつ
き、またボールをキープするという、超俊足・岡野でなくてはなし得ない驚異のプレーだ。
  これこそプロだ。ただ、アマチュアでもやるプレーをより正確にやるだけではプロ
とはいえない。こういう、他の誰もができない技を見せてくれるからこそ、プロとし
て観客は金を払う。その意味で、寄り切りでも勝てるのに、わざわざ吊り落としで豪
快に決めようとする横綱・朝青龍の姿勢は正しい。今後も岡野には、得点を狙うのと
同様、こういう技を一試合に一回は見せて欲しい。
  それにしても、エメのケガはどの程度なのだろう。せっかく三都主やトゥーリオが
揃っても、エメに長期欠場されたらワクワク感は半減してしまう。
はやく「ブラジル・トリオ」がサンバのリズムで生み出す「リオのカーニバル・ゴール」を見たいのだから。


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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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