COLUMNコラム
 

          
第72回 (2004年3月15日)
「レッズはスペイン・サッカーになったか!?」


3月13日 △1−1 横浜・F・マリノス(横浜国際)

横浜国際は広くていい。1時間前についても、自由席に楽々座れるからね。ことに
向う正面の二階席も自由席として開放してくれてるのがありがたい。
  私は、いつもここではレッズ・サポーター寄りの向う正面二階席に座る。いいんだ
よな、レッズの応援の声とマリノスの応援の声が両方聞けて。そこから見ると、レッ
ドとブルーの旗のコントラストで、まさしく戦国時代の合戦が行われるみたいな迫力
がある。今年もシーズンが始まったな、というウキウキ感で、つい写真を撮ってしま
いたくなる。これがアントラーズ相手だと、どうも色が近過ぎて、違いが際立たな
い。
  やりましたよ、ウェーブ。ゴール裏からずっとやってきて、私たちのところも超え
て向う正面の真ん中を越えて止まる。
「アウエーだけど、オレたちの陣地はここまであるんだぞ」
 とレッズ側が誇っているようで、これが何とも気持ちイイ。
  スターティングラインナップ発表は、なぜか試合開始30分前とやたらに早い。オリ
ンピック予選組がいなくたって、こっちは三都主に山田、坪井、都築とフル代表も揃
い、もちろんエメルソンも元気一杯の強力メンバーだ。マリノスも嬉しいじゃない
の、松田だの中沢だのもいる上に、FWは日韓夢の2トップの久保と安で、しかも監
督は岡田。レッズ・サポーターが気持ちよくブーイングしまくれるメンバーだ。
 開幕戦に相応しいフルコース料理ではないか。
  ま、実をいうと内心、坪井、室井、内舘の3バックというのは、ほんの少しだけ不
安も感じたけど。
  ただ、オープニングセレモニーは寂しかったな。せっかく昨年完全優勝したマリノ
スのホームなのに、もう少し盛り上げる要素があってもいいんでないかな。
 あの、ロケットマンてのは、いったいどこが面白いんだ? ただ空中をちょっと飛
んで降りてくるだけで。スーパーボウルなどにも登場した人らしいが、いろいろある
出し物の一つとして出てくるのなら盛り上がるのかもしれないが、あれだけ見せられ
たってそりゃ唖然とするだけ。どうせタレントを呼ぶなら、ヴィッセルが呼んだ松浦
亜弥みたいに、出てくるだけで「ワッ!」と来る人物を呼んでほしかったのに。去年
のアントラーズの、西城秀樹の国家斉唱の方がまだ「ワッ!」と来た。
  あの、マリノスのサポーターの前だけでチマチマやってるチアガールも余計だった
な。 しかし、セレモニーに対する不満も、試合で完全に吹き飛んだ。これが、どう
にもなかなかイイ。よく、「スペインサッカーはたとえ退場者が二人出て9人になっ
ても、守りに入るより、まず攻めまくる」と聞かされたりしてたが、きょうのレッズ
の試合は、ちょうどそのスペインサッカーみたいなことをやってた。DF出身だった
ギド監督がなぜここまで攻めにこだわるのかな、と思うくらい、攻めにかかる。
  だいたい3トップにしちゃうんだからな。漫才やコントを何組も出すお笑いライブ
で、いきなりウケそうな芸人を最初に並べて、後ろの方は少々面白くなくても勢いで
笑わせちゃおうって姿勢に似ている。
 これはなかなか出来ない。みんな後半にダレるのを恐れて、どうしてイイ芸人を後
ろにとっておきたいものなのだ。ギド監督、なかなかのギャンブラーとみた。
 だいたい、楽しい人材が揃ってるんだよなァ。サポーターに、「もっと盛り上げ
ろ」とアクションを起して、そのすぐ後に同点弾を決めてしまうエメがまず心地よ
い。徹底してDFに付かれて倒されまくり、それでも立ちあがって、今度はドリブル
で抜きさり、ギリギリの体勢からシュートまでもっていき、とにかく彼の動きを見て
るだけで自由席の入場料2000円分はチャラ。
  前へ前へと出ていく三都主もイイ。早くエメと三都主がサンバ感覚でパスをし合っ
た末にゴールが決まる「ブラジリアン・ゴール」が見たい。これで、何とスーパー・
サブにはイヌより速い岡野が控えているのだから、ますます嬉しくなっちゃう。
  これでまだ田中達也やトゥーリオまでいるのだから、今年のレッズの攻撃は凄まじ
いことになりそうだ。
  それぞれが微妙にキャラクターが違うのが、また楽しい。天才ノーテンキ型のエメ
がいると思えば、ちょっと日本の義理人情の入ってる三都主がいる。DFのくせにズ
ンズン前に出るイケイケにーちゃんのトゥーリオがいて、周りの状況を的確に判断で
きる達也がいて、とにかく足の速い岡野がいる。
  このままだと今一歩キャラの弱い永井や山田は守備に回るしかないかもしれない。
  マリノスもまた、ガンガン攻めてきてくれたお陰で、かつての麒麟児と富士桜の
ツッパリ相撲のような華やかな試合になった。本当は勝ってくれた方がよかったが、
引き分けはまずまず。
  これからも、スペイン流の、攻めまくりサッカーでいってほしい。その上で結果が
出たらサイコーだな。


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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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