COLUMNコラム
 

          
第68回 (2003年10月26日)
「エメはナビスコ、大丈夫かな?」


10月26日    △1−1  柏レイソル(埼玉スタジアム)

  結局、ナビスコ決勝で、指定席のチケットは手に入りそうにない。
  あちこち知り合いをあたってみたが、
みんな自分の分を確保するのが精一杯で、とても余り席は出てこないようだ。
マスコミ関係、広告代理店関係なども、
いつも以上にオファーが殺到しているらしく、「今回は厳しいよ」の声ばかり。
とにかく今回くらい入手が難しいのは初めてだ。
  かといって、ネットオークションで何倍もの金を払ってチケットハンターを
儲けさせるのもシャクだ。レッズ・サポーターは結束して、
絶対にああいう連中からは買わずに大損こかせてやれ! 
と声高に叫びたいくらいだから。

 とりあえず、知り合いから譲ってもらってホーム側自由席は確保したんだから、
それでよしとするしかないか。鹿島側で見るとなると、
他人の家で一泊するようなもので、
どうも気をつかって仕方ないが、チケットを持っていない人たちにとっては、
十分に贅沢な話なのだから。
 
さて、きょうの浦和美園駅前、「チケット譲ってください」と紙をかざす人たちが
溢れるばかりに増えてるかと思いきや、そうでもない。
試合開始30分くらい前で5−6人くらいかな。
前節の飛田給よりも少ない。それだけみんな、本当に行きたい人間
にはチケットが行き渡るようになったのだろうか? 
あるいは、あまり効果がないからと、やめてしまったのだろうか?

  ナビスコ決勝も近い、リーグ戦でも勝てば首位進出もあり得る、
しかも日曜昼で天気もまずまず。これなら4万人超えは確実だろう、
と思いきや、いつも通り、下は一杯だが二階席はガラガラ。
「SAITAMA」の文字がよく見える。みんな案外現金なのだ。
ナビスコ決勝のような「初優勝」というテーマが鮮明な試合にはチケットの
凄まじい争奪戦が行われるが、きょうのような、
まだそんなに鮮明でない試合にはさして食指を動かさない。
最終的には3万6千あまりか。

  ナビスコ来るなら、こっちも来いよ!
 試合は、攻めても攻めても肝心の1点が取れないフン詰まりのような展開で、
便秘薬がほしかったくらい。
エメルソンの足が具合が果たしてどれくらい悪いのかも気に
なって仕方なかった。ようやく後半、千島を投入するというので、
てっきりエメルソンと替わるのかと思ったら、
永井の方が引っ込んでる。要するに、そこまで今のレッズは、
エメ頼りってことで、ナビスコ決勝で足のケガでエメ欠場、
なんてはめになったら目もあてられない。

 私の後ろの席のオッサンは、それこそ試合中、合計7−8回は、
「オフト! エメを替えてやれよ」
  と泣きを入れていた。
  しかし、こうなると田中達也の欠場の穴の大きさを思わざるを得ない。
まるで「一筆書き」の似顔絵みたいに、
スルスルッとスピーディーに動き回るエメと、
ウソ発見器の針みたいにジクザクになったりスーッと線が、
延びていく達也の動きが、9月、10月と絶妙にハマりあって、
得点を重ねていった。 
そこへいくと、どうも永井の動きには単純な直線的なものが多く、
しかも淡白だ。ボールがラインを切るかどうかギリギリのところでも、
あっさりムリと諦めて追うのをやめてしまったりする。
 
きょうのドローは、レイソルのDFが固かったというだけではない。
永井とエメがうまくハマってなかったのだ。
スピードで圧倒するエメとドリブルでかく乱する達也が揃って、
初めて「押してもだめなら引いてみな」のことわざ通りになる。
エメと永井を見ていると、ただ押してるだけで、どうも変化に乏しい。
「ナビスコは、ちゃんとツートップ揃うんだろうな」
「きょうみたいな試合してたら、また鹿島に1−0に逃げ切られるぞ」
 横の席の若者たちが言っていた。
すでに彼らの頭の中でも、レッズの正FWはエメと達也になってる。
  私も同感。ホーム側自由席で、地味に、目立たず、
鹿島サポーターに怒られないように応援しているから、
エメと達也で、得点取りまくってくれよ!




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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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