COLUMNコラム
 

          
第66回 (2003年10月1日)
「駒場はリオのカーニバル」


10月8日      ○6−1  清水エスパルス(駒場)

  こういうことがあるんだなァ。もう、5点目くらいからは、
「後は点入れなくていいから、決勝にとっといてくれ!」
 と思わず心の中で叫んでしまいましたよ。心配だな、
6点も取って。野球なんかでよくあるでしょ。
大量点取った次の試合では、つい大味になって、なかなか点が取れないって。
でも、別にすぐ次が決勝じゃなくて、リーグ戦がしばらく続くから、まァいいか。
 
それにしても、きょうは確かにいい気持ちだが、
心のどこかでは「あまり運を使いすぎるなよ」という所もちょっとはある。
ナビスコカップだけじゃない、リーグ戦の第2ステージも十分に
優勝圏内であって、あまりひとつの試合で点を取りすぎると後が
怖い気がしてならない。運はうまく分散しないとね。

  しかし、10月の今の時期にチームのピークが来てるってのは本当に嬉しい。
この時期に調子がよくなって始めて「優勝」っていう言葉が意識できる。
去年なんか、このあたりで下降線が始まったんだから。
まいったよね、あの8連勝の7連敗。

 サポーターも、気合い入ってたな。
正直いって、私はその気合いをアマくみてました。
前もって買ったのは自由席。ナビスコカップだし、
6時前に行けば、席はともかく、
立ち見だったら場所取りには苦労しないだろうと思って
駒場についたのが5時45分。
すでに向こう正面1階の自由席は座席どころか立ち見も
あらかたゲットされていた後だった。
それだけみんな、今年こそはって気持ちが強かったんだな。

 しょうがないんで、試合開始の30分には1階の西側の立ち見の
一番後ろの場所を確保し、立って見たんだが、
屋根の出っ張りがあって、実に見づらい。腰をかがんで首をさげないと
ピッチがほとんど見えない上に、出っ張りで隠れた部分に
ボールが行った時にはしゃがまないと見えない。
つまり、ただ試合を見るだけのために首と腰と足とが非常に疲れる、
とても不自由な場所で観戦していたわけだが、そんな不自由さを
忘れるくらいのサポーターのパッションと、チームのエネルギーだった。

  すぐ前にいた男の二人組が、
「どれだけ騒いでも、世界に通用する選手はここにはいない」
 なんて醒めた話を最初はしていたが、
レッズの得点シーンが度重なるにつれて、
だんだん何もいわなくなっちゃったもんね。
点を取るたびにそこら中でビールで乾杯したり、ハイタッチしたり、
抱き合ったり、どうも何だかリオのカーニバル状態になってるのが
実にもう嬉しい。

  最近、6点取ったというと仙台戦があるが、
それには行ってないんで、これだけの大量得点をあげた試合を
見るのは久しぶり。点を重ねるごとにサポーターの反応が違
うのがわかって、より楽しかった。

  1点目、2点目は、まだ勝敗の推移がわからないので、
サポーターの喜びというのも、どこか緊張感が抜けきれない。
ハイタッチなどのお祭り騒ぎはあまりなくて、
素直に点が入った喜びをその場で爆発させているといった感じに見える。
  それが3点目になった途端、ガラッと変わるんだな。
「よし! もらった」という安心感からか、
どの人の顔からも緊張感は消えて、ニンマリしたエビス顔になってる。
喜びの表現もかえってオーバーになっていく。
つまり心身がリラックスしていくんだろう。
 
これがさらに点が入るにしたがって、オーバーさはエスカレートしていき、
サポーター席の「カーニバル度」がどんどんヒートアップしていく。
 
今まで、レッズは、こんなカーニバルの雰囲気を
味わわせてくれることはほとんどなかった。
こういう準決勝の大事な場で味わわせてくれるなんて、
嬉しいやら、とまどうやら。
見づらい場所で観戦している足腰首の痛みも、
後半戦の得点ラッシュを見てると、あらかた吹っ飛んでたもんね。

  エメルソンと田中達也って、たぶん波長が合うのだと思う。
よくある漫才コンビの
ようなボケと突っ込みではなく、どっちも突っ込みなのだが、
気がついてみたら、二人で掛け合ってるうちにちゃんと
客が笑えるオチに到達していた、みたいな妙な呼吸の良さがある。
コンビじゃないのに、結局はうまくコンビになってる、といったような。

  こういうのって、今のお笑い捜しても、なかなか思い浮かばない。
しいていうと『トリビアの泉』の司会者ふたりの掛け合いに
ちょっと似ているかもしれないくらいで。
もう、二人組の一方がボケで一方が突っ込みという形自体が
古いのかもしれないな、と考えさせられるような新しさがエメと達也にはある。
  大変だよ、これから。
11月3日の決勝戦のチケット、ちゃんと取れるかな。
4点目くらいから、その方が心配になってきた。





「お知らせ」
『浦和レッズ絶対主義』(長崎出版)

↑こちらをクリックすれば、買えるようになりました。

インターメディア出版のHP(コラムに山中さんのページがあります)
「山中伊知郎コラム感想掲示板」


皆さんの感想が山中さんのモチベーションとなり次のコラムとなります。
是非とも感想は「山中伊知郎コラム感想掲示板」までお願いします。
(山中さんも見て、書き込みをしております)

<無断転用・転載を禁じます> 

最新刊『浦和レッズ絶対主義!

↑こちらをクリックすれば買えるようになりました

2002年・Jリーグ第2ステージ、惜しくも優勝を逃した
我らが浦和レッズ。
本書は、著者を含めたサポーター、関係者たちが、
どうジタバタし、どう歓喜し、どう落胆していったかを
克明に綴った「地域密着型人間ドラマ本」である。
長崎出版から好評発売中 


        
山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

●「山中伊知郎は語る レッズよ、勝て!」TOPへ
このコーナーへのご意見・ご要望・ご質問は下記までお寄せください。
e-mail : kaname@murata.name
        

浦議TOPへ