COLUMNコラム
 

          
第58回 (2003年6月15日)
「この次は歴代外人選抜だ」


6月15日    浦和レッズ4−1レッズ歴代選抜

  そうくるか・・・。なーるほどね。山口百恵がマイクを置いて去っていったように 
福田はスパイクを置いて、それが空中に上っていって去っていくか・・・。
考えたねェ、スタッフも。

  試合も、きょうは見てて楽しかったな。
フェイエノールトの時の10倍は楽しかった。
だいたいフェイエノールトの選手なんて、小野以外ほとんど知らないけど、
きょうの歴代選抜メンバーは、知ってるどころか、みんな、ある時間を共有した人たちばっかりだったから。
 サポーターも、福田コールだけでなく、いろんなコールをちゃんとやってくれて、 
サービス満点。試合には出なかったが、小野も顔を出して、アイツはホント、
義理堅い男だ!

  ブッフバルトは、平川のドリブルに追いつけなかったり、動きはちょっとは鈍くな 
ってるかもしれないが、ヘディングの競り合いになると誰にも負けないし、要所要所 に張って相手の攻撃をつぶす感覚はぜんぜん衰えてない。前方へのロングパスもドンピシャだしね。「おい、あれじゃゼリッチよりよっぽどいいじゃないか!」
 後ろのオッサンも言ってた。同感だな。やる気があるなら、
また現役に復帰してレッズに来て欲しい。冗談じゃなく、マジで。
  それに比べると、ついこの間まで現役やってたペトロピッチの方が
目立たなかった。得意のオーバーアクションを見せてくれたのも、前半の1回きりだったし。

  バインはハゲたな。独特の切り返しのテクニックとかうなるものはあったが、
いかんせん、年でスピードがなくなってるな。
  あと、レッズ歴代選抜で目立ったのが岡野。まだ現役だから走るのは
おてのものだが、本人、相当張り切ってるみたいで、骨惜しみせずに走り回ってくれた。その上、ちょうど福田がレッズ選抜の白からレッズの赤にお色直しのためにちょっと引っ込んだ所で、滅多に見れないロングシュートを決めてくれた。結婚式で新郎が引っ込んだ 
ところで、とっておきの芸を見せる友人代表のようなものだ。
「ああいう間の悪いところが岡野らしいや」
  うしろのオッサンも嬉しそうだった。
  あと、目立ったのは、田中達也のドリブルを必死で止めようとしてひっくり返って 
すぐにリタイアした田口。それに客席にまで届くくらいのデカい声で「上がれ!」「 
堀ィ!」などと叫びまくった土田。いつくになっても元気な人は元気だ。
  それに比べて城定とかの元気のないこと。城定って、まだ現役だろ?
  とにかく選手もサポーターも、この試合のテーマはよくわかってる。
「どこで福田にゴールを決めてもらうか?」
  ミエミエの据え膳ゴールじゃ福田のプライドが許さないだろうし、ガチンコ勝負じ 
ゃ、せっかくのゲットゴールを見せられないわけだし、これはなかなか難しい。
  プロレスの難しさと一緒だね。セメントマッチではケガをするだけだが、まったく 
の八百長じゃ観客は盛り上がってくれない。
  私としては、一応試合前、ガチンコでいって、福田が点を入れられないまま、後半 30分くらいにPKをとって、それを福田が決める、という予想だ。
 PKというのは、セレモニーとして実に趣が深い。まず、PKと宣告されてから蹴 
るまで間がある。その間にサポーターの盛り上がりが期待できるし、1対1の相手になる山岸に、福田が「あとは頼んだぞ!」とエールを送ってるようで、心地よいではないか。

 しかも福田とPKは切っても切れない関係なのはレッズ・サポーターなら誰でもが 知ってる。得点王の年はよく転び、よくPK決めたよな。
  だから、35分過ぎ、お色直しの後のヘディングで福田が1点決めた時は逆に少し気が抜けてしまった。土田もジャンプしようかしまいか迷ったみたいだし、まわりのDF陣も無理に福田をフリーにしてた感じもあるし。
  いいのに、PKで・・・。
  けど、感慨深かったな。ようやく11年目にして、浦和レッズにも「伝統」が出来た 
のを実感した1日だった。引退試合をやれるだけの選手が生まれ、歴代選抜が組めるだけのOBが揃い、公式戦でもないのに5万人も集まるサポーターが育ち。
 93年、まだ1万人入ったら満員になってしまうホームのオープニング試合を見に行った頃には、こんな未来があるなんて想像もできなかったな。
 さいたま市も、これから毎年、6月に世界の有力クラブを呼ぶとか言ってるけど、 
そんなイベントやるんなら、こっちの現役vs歴代選抜の方をやってよ。
  何なら、現役vs歴代外人選抜ってのも面白い。GKだってミロっていうのがいた 
し、DFもギドにボリにザッペッラ、トリビソンノなんてあたりで4バックが形成で 
きる。MFになるとチキ、バイン、アドリアーノ、ペトロなど人材にはことかかない 
し、どうせなら、Jリーグ開幕ですぐダメ外人でいなくなっちゃったモラレス、フェ 
レイラつれてきてもいい。あ、フェレイラはFWだったっけ。FWには、特別に現役 
でエメとトゥットにやってもらうか。
  ワクワクするね。レアルマドリードやユベントスが来るよりずっとワクワクする。 

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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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