COLUMNコラム
 

          
第54回 (2003年4月23日)
「ブーイングが聞けない!」


  4月23日  ナビスコ杯  △0−0 ジュビロ磐田(駒場)

  私は、よほどのことがない限り、試合開始の15分以上前には駒場につくようにしている。それはスターティングラインナップ発表は、できるだけいつもの席に座って聞きたいからだ。
いや、もっと厳密にいえば、アウエー選手の紹介と、それにブーイングを
送るレッズ・サポーターの反応を聞きたいのだ。

  有名で、キャリアもあり、人気も実績もある選手がより大きなブーイングを浴びる 
。その大きさは同時に、その選手に対する尊敬の量のバロメーターでもある。
それを聞きつつ、「あー、あの選手はこれくらい認められているのか」
と再認識するのが、試合前の私の最大の楽しみなのだ。
 しかもきょうは有名選手の多いジュビロが相手だ。
いつも以上にブーイングが多いだろうし、デカいブーイングをしようとレッズ・サポーターも張り切ってることだろう。
  満を持して席で待ってて、ほんとにガッカリした。服部もいない、名波もいない、 
何てったって今の日本で最も大きなブーイングを浴びるであろう
ゴン中山がいない! 

  はっきり言って、疲れてるんなら試合には出なくたっていいんだ。
野球でも、「影武者」という戦法があって、
実際に試合に出ないピッチャーを先発野手として登録させて、
相手が右投手か左投手かでどのバッターを先発させるか決めたりした。
あの手を使ってもらったっていい。
服部や名波はともかく、せめて中山くらいは、試合にはでなくたって、先発に名前を入れておいて欲しかった。  ブーイングをしようと待ち 
かまえていたレッズ・サポーターも拍子抜けしてたではないか。
出るはずの名前が出てこなくて、
次々と、ブーイングするほどよく知らない名前がコールされていくのだ 
から。ようやく福西や藤田で軽いブーイングが出たが、
盛り上がり不足はいなめなかった。
しかも藤田なんて、途中で引っ込んじゃうんだから。
 試合も、つまらなかった。ときおりチラッとワンタッチパスの連続が出てきたりは 
したものの、ジュビロ得意の華麗なパス回しや二列目の素早い飛び出しもあまりなく、中山のファイティング・スピリットもない。
すき焼きを頼んだつもりが、野菜と玉子だけあって、
肉が入ってなかったようなものだ。味気ないことこの上ない。それに 
、ほぼベスト・メンバーで対抗したレッズが1点も入れられなかったのは、
いささか情けない気もするが。
  ナビスコ杯には、リーグ戦に備えて主力選手は休ませるのが常識だ、
という考えはわかる。
しかし、それにもかかわらず1万5千人近くも観客が集まったということは 
、やはりジュビロならスター選手をたくさん見られる、とみんな思ったからに
違いない。
  こういう試合なら、多くても入場料はリーグ戦の半分。
でないと、気持ちがおさまらない。
  この次、私が行ける試合は29日の国立のヴェルディ戦か。
そん時はエムボバに出てもらって、思い切りブーイングを浴びせてもらおう。





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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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