COLUMNコラム
 

          
第34回 (2002年4月30日)
「ゴールのお花畑」


■4月30日○3−2 対鹿島アントラーズ(駒場)

井原にも驚いたが、レッズ・サポーターにも驚いた。
よくあれだけの条件の中、1万2千人以上も集まったものだ。
相手がアントラーズとはいえ、雨だし、ナビスコ杯だし、
きのうは日本代表のスロバキア戦があって、応援も疲れてたろうし。
試合開始の25分くらい前に競技場の外の自転車置き場に自転車を止めた時は、
いつものリーグ戦と比べてあまりに自転車の台数が少ないし、
中に入ったら向こう正面の2階席やレッズ側のゴール裏に空席が目立ったんで、
「こりゃ1万人切るかな」
と思ってた。
それが試合開始10分くらいからけっこう埋まり出して、あの数字だ。
ホント、レッズ関係者は感謝しなければいけない。

それにしても、日本代表試合の翌日だというのに、
出場停止のエメルソンを除いて、レッズはほぼベストメンバー。
肝心な選手が何人も欠けてるアントラーズと比べると、ちょっと寂しいやねェ。
私、ワールドカップにもう一つノリ切れないのは、そこにも原因がある。
何しろレッズ在籍の現役選手がひとりも出る見込みがないのだから。

代表に呼ばれなかった選手の「出がらし」メンバーともいえるアントラーズ。
前半、ゴール前の平瀬のテンポが他と合わなかったり、
どうも「出がらし感」が拭えずに動きもいつものキレがない。
またレッズの方もそれに付き合ってスリリングなシーンの少ない一進一退。
せっかくの1万2千のファンを退屈させちゃいかん!
と心で叱咤したら、それに答えてくれたのか、後半はボクシングじゃないが、
派手な打ち合いをやってくれましたね。
1点目のアリソンのゴール、ありゃビューティフルであった。
オーロラビジョンで見直した時、隣りにいた中年夫婦が、
「ありゃ、狙ってもアソコには飛ばない」
「そうよねェ」
なんて無邪気に感心していたが、
アリソン自身にとっても100発蹴って1発の確率だったろう。

2点目の鈴木の、敵DFに当たって
弾丸シュートになって入っちゃったのもよければ、
最後の井原のヘディングも、オッタマゲのファイン・シュートだ。

レッズが3点以上入れた試合は何度も見てるが、
こんなに揃ってキレイなシュートを見た記憶はちょっとない。
キャバクラに行ったら、美人3人揃ってやってきて
「はい、どうぞ」
って水割り作ってくれたような感激か?
いや、少し違うかもね。

2点は取られてしまったが、
それも井原を引き立たせるために入れさしてやったと考えれば、
これほどハッピィなこともない。
ひょっとして、井原自身、まだ日本代表を狙っていて、
ぜひここで、とアピールの一撃だったのかもしれない。

途中、強かった雨足も試合の終わるころには小ぶりになっていたし、
レッズ・サポーターにとっては、日本代表戦の谷間の、
ちょっとした春まつりのような試合になった。

よし、季節にちなんで、アリソンのゴールを見るも鮮やかな「つつじゴール」、
鈴木のゴールは藤棚ならぬ敵DFの助けもあったから「藤ゴール」、
雨に咲いた井原のゴールを「あじさいゴール」と名付けよう。

ね、なかなかキレイでしょ。

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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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