COLUMNコラム
 

    
 
      

第3回 (2000年12月13日)
「レッズサポーターと盛田」



■盛田コール

 10日の等々力の試合で、心に残ったシーンを見ることができた。
試合開始前、観客の8割方を占めるレッズ・サポーターが放った盛田コールに対して、
盛田はさりげなく両手をあげて答えたのだ。 いいなァと感じた。
そう感じる自分が甘いなと反省もしながら、でも、まァいいかと思った。
はっきり言って盛田については去年の開幕からずっと期待を裏切られまくり。
なぜあんな選手を出し続けるんだ、というブーイングも殺到した。
今年に入るとたまにサブで投入されるくらいで、2年連続公式戦無得点。
普通なら、とっくに見離してもいい選手なのだ。
天皇杯に入って、ようやく続けざまに得点を上げてはいる。
が、所詮はアマチュア相手なのだ。
プロが点を取ったからといってエバれる状況でもない。
それをレッズ・サポーターはあえて、
試合開始20分前の練習開始から盛田コールで彼を迎えた。

■盛田コールの意味

それは、この2年間、どれほど彼が無得点によって苦しい立場に立たされ、
本人も追いつめられていたかを知っていたからだ。
アマ相手だろうが、公式戦の得点には変わりない、
とりあえずひとつの壁を破った盛田をみんなで祝福してあげたい・・・。
サポーターの気持ちがわかったからこそ、普段はシャイであろう盛田も、
手を上げてその声援に答えたのだろう。
やっぱり甘いんだろうな。
冷酷なプロの世界ではあくまで結果がすべてであり、
これからJ1チームと当たる試合の中で点を決めなくては、
彼は自分の責任を果たせたとはいえないんだろうな。
結局、より強いチームになるために、
チッタ新監督がブラジルからいいFWを連れてくるだろうし、
そうなると来年の盛田の出番はやはり相当限られてこざるをえない。
情に流されてもいけないとはわかりつつ、
でも、そういう情に流される部分があるからこそ、
レッズやレッズ・サポーターという集団が成立しているのじゃないか?

■フロンターレ。。。

等々力の、フロンターレの観客席を見てガッカリした。情がなさ過ぎる。
地元チームの天皇杯初戦にも関わらず、サポーター席はガラガラ。
J2落ちした一番苦しい時期だからこそ競技場に来て支えてあげなくてはいけない時なのに。
強きゃ応援するが、弱いんならやめた、もひとつのサポーターの姿勢かもしれない。
しかしあそこまであっさり見離されたら、選手もかわいそうだよ。
お陰で、フロンターレがちっとも元気がないから、試合開始10分で、
「このゲームはレッズがいただき」
って確信したけど。

■等々力が沸いた瞬間とレッズサポ

自慢じゃないが、レッズ・サポーターはJ2落ちが決まった去年の天皇杯だって、
1万以上の観客が集まって、ともすれば気落ちしがちな選手たちを励ました。
盛田の件にしても、温情が過ぎると見られながらも、
見捨てずにいつの日にかの爆発を待っている。
10日の先発メンバー発表で、
名前を呼ばれた瞬間に最もレッズのサポーター席が沸いたのが誰だと思う?
「フロンターレのFW」池田伸康の時なのだ。
一度でもレッズに関わったことのある人間を、
つい家族の一員のように愛してしまう。
チームを強化するためには時として邪魔になるこの感情が、
サポーターにも、恐らくスタッフの人たちにも濃厚にあるのがレッズの特徴だ。
情は捨てる必要はない。それがなくなったらレッズではなくなる。

■やっぱり盛田。期待してるぞ!

ただ、選手の側は情に甘えてはいけない。盛田!
今年の天皇杯の残り、そして来年こそ結果を出してくれよ!
私のすぐそばに座っていた観客のうち何人かは、盛田が福永に替わった直後、
「きょうは盛田のゴールも見れれば最高だったのに」
の言葉を残して、席を立ったくらいなのだから。
その電信柱のようなユニークなキャラクターといい、
「利き足は頭」という名文句といい、
点さえ取れれば絶対に人気選手になる要素を持っているのだから。


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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
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浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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