COLUMNコラム
 

          
第25回 (2001年9月27日)
「プロ同士の試合に「善戦」はない」

■9/22対鹿島アントラーズ戦

確かに惜しい試合だった。もうダメかと思った後半も終了直前、永井の同点ゴールで振り出し。
押せ押せムードで、こりゃ、ナビスコ杯の仇を討てるな、と嬉しくなっちゃったのではあるが・・・。

 イヤーな予感はあったのだ。
私が国立競技場についてすぐスターティングラインナップの発表があったが、
鹿島のを見て、「ありゃ、まァ」とまずは驚いた。
先発メンバーではない、サブの顔ぶれを見てだ。
GKの高桑にDFは久々顔を見せた相馬、それに本山、平瀬、長谷川とくる。
何だよ、おい、みんな日本代表クラスではないか!
河合や福永が決して負けてるとは言わない。
しかし、このサブメンバーを見せられると、
「ウーム、延長に入ると本山あたりが出てきて引っかき回される危険があるなァ・・・」
と、つい考えてしまうのは当然ではないか。
なぜか私、toto予想はちっとも当たらないが、こういうマイナスの予感はよく当たってしまう。
しかし、結果は2対1の際どい試合だったけど、チームの完成度を見てると、
やっぱりだいぶ差があったのは否めない。

鹿島は、芝居用語でいうと、「出はけ」のうまい選手が揃ってる。
どこでタイミングよく飛び出して、どこではけるかが体でわかってるのだ。
テレビのバラエティでもそうなのだ。
自分が前に出てしゃべるタイミングと、
後ろに下がってジッと別の人間がしゃべったのを聞くタイミングが的確なタレントが
「バランスのとれたいいタレント」で、
無闇に自分だけ目だってしゃべろうとするタレントはうるさいだけ。
個人プレーならともかく、集団トークでは浮いてしまう。

一方のレッズとなると、どうもこの出はけがうまくいってない。
DFの飛び出しがないから、中盤がボールをキープしてもどこにパスしていいかわからず、
迷ったあげくバックパスするシーンも再三だったし、ようやく攻撃に加わったDFも、
足が遅いのか、なかなか後ろに戻れなくて見てる方がヒヤヒヤするシーンも再三。
FWにしたって、個人技の点ではトゥット、エメルソンは柳沢、鈴木に引けは取らないにせよ、
中盤以降に対する信頼、といった面ではだいぶ違っていた気がする。
前半なんて特に二人にアドリアーノを合わせた外国人3人だけで攻撃してたもんね。 
エメルソン、自分で決めようとし過ぎ! 
そりゃ確かに出はけのタイミングが悪い後ろの選手にボール回すより自分で決めた方が早い、
って考えはわかるが、J2ならともかく、J1じゃ、そう簡単にひとりでは得点はできない。
信頼ついででいえば、オフサイドが鹿島の方に圧倒的に多いのも、かえって鹿島の強みのように思える。
鈴木にしろ柳沢にしろ、延長で替わって出てきた平瀬にしろ、
向こうのFWはいつも相手のスキをついて前へ出ようとしてる。
だからこそオフサイドも増える。レッズの方ときたら、DFが不安なのか、
トゥットなんかわざわざ後ろに行って相手の攻撃を止めたりしてる。
後ろを信頼して攻撃に徹してる鹿島と、どこか信じきれないレッズの差だ。

  まァ、それにしてはよく拮抗した試合にもっていったものだが、
これはレッズの2トップのスピードを警戒して、鹿島側がもうひとつ腰を引きながら攻めていたのに原因がある。
出のタイミング以上に、はけのタイミングがとっても早かったからね。
現在のチームの状態から見たら「善戦」といっていいかもしれない。
でも、これってあくまでプロ同士なんだからね。
ジュビロ戦もそうだったが、
「レッズはよくやった、2トップのスピードは素晴らしかった、結果的には負けたが、それは仕方ない」
なんて論法は成り立たないのだ。天皇杯で高校チームがJ1チームに善戦するのとわけは違うんだ!
すでにレッズが2トップを核にしたカウンターに走っているのは見ていてわかる。
とりあえずはこれを徹底して、よりカウンターを磨くしかない。
でも、本当はそのためには、
両サイドに岡野みたいにムチャクチャ足の早い選手がいてくれたらいいんだけどね。
 
そうか、岡野も久々得点を決めたか・・・。


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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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