COLUMNコラム
 

          
第23回 (2001年8月25日)
「問題は解決されてはいないが・・・」


■8/25対サンフレッチェ広島戦

 掲示板にいろいろなご意見、ありがとうございます。
なるほど、そういう見方があるのか、と参考になることばかりです。
ただ、一言いってたおきますと、きょう得点をあげたから弁明するのではないのですが、
私は前回、「エメルソンは不要」と書いたわけではないのです。
エメルソンも戦力になるかもしれないが、それよりも優先補強ポイントはDFではないか、
と訴えたまでです。一応、改めて書いておきます。

てなわけで、口調をいつものように戻すが、
その気持ちは逆転勝ちを遂げたきょうの試合の後も変わってない。
きょうはあくまで、相手の選手のうち二人も退場になるというラッキーがあったからこその勝利であり、
まともに11対11のまま推移していたらどうなっていたかはわからない。

そりゃ確かにDFのメンバーも変わり、システムにも手が加えられたかもしれない。
でもやっぱり最後にモノをいうのは個々人の「決定力」、
体を張って相手の攻撃を抑えるフィジカル・パワーなのだ。

前半に1点取られたシーンでも、サイドを内舘がしっかり止めていればチャンスにはならなかったし、
西野、城定が真ん中をしっかりおさえておけばシュートを決められることもなかった。
あれはDFが与えてしまった失点だ。

しかし今さらいいDFなんて補強できるわけない、
というのなら、最低限、田畑でも室井でも、実戦で使えるDFをそうパカパカと外に出さないで欲しかった。
ひとりひとりの「決定力」が足りないのなら、
束で前後半に2人づつくらい入れ替わってでも活動量で勝負するしかないではないか。
きょうのリザーブについては、田中、トゥット、福田とFW陣が3人も入る超攻撃型布陣だったが、
今後はリザーブのうち2人か3人を中盤から後ろの選手にしておいた方が、見ていて安心できる。

結局、野球のバッターやピッチャーと同じで、投げたり打ったりは上半身でやるとしても、
それを支えている下半身こそが大事なわけでしょ。
前の方にはタレントがいっぱいいるのに、後ろが寂しいというのは、
上半身はムキムキなのに下半身が貧弱な、ややイビツなプレーヤーと同じだ。
せめてエメルソンと同レベルのDFがひとりいればチームのバランスが格段によくなるんだがな、
と私ならずとも考えるでしょ。

さて、一方、後半の10分すぎからエメルソン、田中、トゥットと
「頭デッカチ」ともいえうる強力選手が揃った前線は、さすがに見ごたえがあった。
いいよね、あのトゥットの、どこへ行く気なのか敵も味方もわからない変幻自在な動き。
小野が去り、岡野も去ろうとしている中、ようやく金を払った甲斐のあるプレイを見せてくれる選手が復活してくれた。エメルソンも、永井との2トップはどこかギクシャクしていたのに、
メンバーが変わって動きやすくなった感じが2階の観客席からもわかった。
が、決して十分に満足できる攻撃ではなかった。ことに前半。
一応、チャンスは作れても決定的なシーンにならずに終わってしまう最大の要因は、
中盤から下が、積極的に攻撃に参加してなかったこと。
内舘だってもっともっと前に上がって欲しかったし、中盤の選手の動きも鈍かった。
アドリアーノなんか、ボールを持って、
いったいどこにパスしていいのか決められずに呆然としてたシーンなんかがあったくらい。
お陰で、相手のゴール前では常に数的優位を保てないから、攻撃は単発で終わる。
こぼれ球を拾ってシュートする余裕があれば1〜2点は入ったのに。
私の後ろの席にいた観客なんて、
「上がれ、上がれ! 上がりが遅すぎる!」
「どこがチャンスか見極めて、そこへ動けよ!」
「何でエメルソンをフォローしないの!」               
と、中盤以降の選手にむやみとハラを立てていた。           
後半に入っても、本質的に状況は変わらない。
ほぼ前の3人(トゥットは主にMFの位置にいたが)が敵陣を崩してチャンスを作る形で、
それに後ろの選手たちがあまり有機的に関わってこない。阿部の決勝ゴールも、ややラッキーパンチ気味。繰り返すが、相手の数が減ったからこそ、これでも数的には勝負できたのであって、
まともなら、果たして得点までもっていけたかどうか?
それと、2対1になってもレッズ・ボールに対してつっかけていかない
広島の無気力な試合振りに助けられた面も大きい。
勝ち点3をとったからと、無邪気に喜んでもいられない。ずっと抱えている課題は残されたままなのだ。

でも、本音いうと、90分以内での逆転勝ちは嬉しかったな。
ウチ帰って、ククーッ!と祝い酒ならぬ祝いビールを飲んでしまった。


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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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