COLUMNコラム
 

          
第11回 (2001年4月18日)
「 選手が主役」


■ナビスコカップ第1回戦対山形戦

 観客動員数9919人か・・・。
バックスタンドの2階席だけでなく、サポーター席にもけっこう空席が
見えた山形戦を見ながら、実は前半はこの前のFC東京サポーターと
レッズ・サポーターの問題について考えていた。
何しろ、きょうの「東京スポーツ」なんて、このトラブルが堂々の一面で、
「浦和厳罰 勝ち点ハク奪も」
なんて見出しがデッカく出てるのだから。
小さく「挑発したFCサポーターも処分へ」と書かれているにせよ、
攻撃のターゲットにされたのは、もっぱらレッズ側であった。

 中でも、Jリーグのある関係者のコメントとして、こんな言葉が載っていた。
「サポーターが困るのは自分たちが応援するクラブが変な目にあうこと。自分たちの
せいで例えばだけど、勝ち点をハク奪されるようなことになれば、少しは考えるよう
になるんじゃないか」
どうせ「東京スポーツ」の記事だからそのまま鵜呑みにはできないが、
こんな意見が出るの自体がおかしい。
サポーターのトラブルはあくまでサポーター間のものであり、
レッズ自体が勝ち点ハク奪などといった処分を受ける根拠がそもそもない。

■選手が主役


 サポーターは「12人目の選手」とも呼ばれるが、
あくまでピッチ上でプレイをするのは選手であり、
サッカーの主役はまず選手たちなのだ。
空間がヒートアップして選手とサポーターが一体化していくのはもちろんあるが、
サポーターが選手を押しのけて主役になってしまうというのは、まさに本末転倒だ。
もし正式に勝ち点ハク奪処分なんてことになったら、
Jリーグがその本末転倒を認めたことになるってしまう。

 そんなのヤだな、と考えているうちに、
14日のFC東京サポーターの応援を見て感じた、
すごーぐイヤな感じの正体がだんだん解明できてきた。
つまり、FCの応援というのは、自分たちが「主役」になろうとしているのだ。
相手のサポーターを挑発し、選手を「ヘタクソ」などと批判することで、
スタジアムの中心に立とうとしているのだ。
自分たちがどれだけサッカーについて詳しく、応援のノーハウをたくさん持っていて、
相手の意表をつくようなカッコいい応援が出来るかを誇りたいだけなのだ。
FCの選手たちは、自分たちが応援パフォーマンスを見せるための単なる道具でしかない。
果たして本当にFC東京を愛して応援しているのかも疑わしい。
 
 何という傲慢! 何という勘違い! サポーターが主役になり、
選手を脇役に押しやった時、確実にサッカーは一般観客から遊離していく。

レッズ・サポーターがFCのようにだけはならないでほしい。
少なくとも、1万人は切ったけど、久しぶりに先発した池田学のために、
サポーターが喜びと期待を込めてロボ・コールを送ったのはよかった。
あんなふうに選手を勇気づけることこそが応援で、
自分らのサッカー知識をひけらかすような応援は、断じて応援ではない。

  何か、きょうの試合とあんまり関係なくなっちゃった。
山形に3点差で勝てたのは、とにかくホッとした。


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山中 伊知郎(ヤマナカ・イチロウ)
昭和29年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒。
18歳からハゲはじめ、頭を剃る。
「スケバン刑事」の脚本家、テレビ番組の構成作家などを転々とした後、
フリーライターに。
関根 勉率いる劇団「カンコンキンシアター」の一員でもある。

TBSラジオ
「永六輔の土曜ワイド」にもレギュラー出演中。

主な著書
「関根 勤は天才なのだ」(風塵社)
「浦和レッズ至上主義」(風塵社)
「チョットいい犯罪」(図書新聞)
「頭髪のすべてがわかる本」(日本実業出版)

浦和市民であり、もちろん熱狂的浦和レッズファン。

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