| COLUMN●コラム | ||||
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第10回 (2001年4月7日) 「人ごみの魔術師と専守防衛の戦士たち ■対横浜Fマリノス戦 私は決めた。トゥットのニックネームを「人ごみの魔術師」としよう。 不思議な選手なのだ。ゴール前、 フリーの状態でドンピシャでセンタリングが上がっても、 なぜかヘディングでは決められない。 ところが前にピッタリと相手のマークがついてると、足もとのボールをうまく操作して、 敵DFをすり抜け、鮮やかなシュートを決めてくれる。 敵が一人であるか二人、三人かは関係ない。 誰もつっかかってくる相手がいないケースより、 相手に囲まれたケースの方がイキイキとして動くのだ。 つまり、一人きりより人ごみの方が好き。だから「人ごみの魔術師」なのだ。 きょうのゴールもよかった。 私、向こう正面スタンド2階のレッズ寄りの席に座っていたのだが、 トゥットの、壁のようになった敵DFの隙間をうまくついてのシュートが、 遠目ながら実に鮮やかだった。 その前のヘディングのしそこないを補って余りある。 FC東京、レッズと都会のチームを渡り歩いているから、 人ごみが肌に合うのだろうか。 ■専守防衛 皮肉な言い方だが、トゥットと並んできょうの勝利を呼び込んだのは レッドカード退場の井原だったと思う。 実は、これも遠目だったために、退場を宣告された時のラフプレーが どのくらいのものだったかわからなかった。 カードが出た時も一瞬、マリノスの選手の方の間違いじゃないかと誤解したくらいだ。 (そもそも、きょうの主審はジャッジに一貫性のないJ2クラスの人だった) とにかくそれくらいに不可解なジャッジではあったが、 あれから一気にチームが専守防衛の方向で引き締まった。 もっと言うなら、もし井原の退場がなかったら、 たぶん1点を守りきれなかっただろう。 前半、無得点で抑えていたとはいえ、いずれはヤラれそうな匂い濃厚だったのだ。 センターバックの西野、井原の反応は相変わらずの鈍さで、 スコーンとゴール前にキレイなパスを通されてしまう。 しかも気がつくと、レッズのゴール前はいつもマリノスの選手の方が数が多く、 反対に敵陣に誰かが攻めあがっても、いつも他に一人もあがってない。 トゥットのゴールを除けば、あきらかにマリノスに押されていたのだ。 チームとしての明快なテーマがなかった。 ところが10人に減って、はっきりテーマが出来た。 「1点を守る」。 前半は止まっている選手が多く、なかなかいいパスも出ず、 有機的なつながりがほとんど感じられなかったレッズが、 後半になって、みんな自分はどう動けばいいのかを 意識しながらプレイするようになった。 小野なんか、エラいね。 右のサイドバックの位置まで下がって必死で守ってたから。 いつもはただ地味なだけの内舘も、 守りの合間のほんのわずかなスキをついて攻撃をしかけるなど、 なかなか果敢なプレイを見せてくれた。 ドニゼッチも悪くない。ブラジル人ときいてたから、アドリアーノみたいに、 気分したでFWになったりDFになったりするノー天気ラテン野郎かと思ったら、 案外、堅い守りが特徴の堅実派。 なかなか倒れない強さもあり、こと守りに関しては、安定して頼りになりそうだ。 西部も、今まで私が見た試合の中で、一番の頑張りだ。 そりゃそうだろ、あれだけあっちからもこっちからもシュートが襲いかかってくれば、 GK冥利につきるというもの。 ゴール右上ギリギリを襲ってきたシュートを弾き飛ばした スーパーセーブなんてのは、もはやワールドクラスだな。 あのプレイが常時出来れば来年のワールドカップでの日本代表も夢じゃない。 見てる私たちも白熱してしまった。 点の取り合いも楽しいが、 たったの1点を守りきれるかどうかの試合ほどハラハラドキドキするものはない。 しかも、岡野が出るなり倒れた時なんて、一時的に9対11になってるんだから、 そらもう2階席て飲んでたビールをうっかりコボすくらいビビってしまいましたよ。 よかったなァ、町は舞い散る桜の花びらの嵐だったが、 横浜はマリノスの放つシュートの嵐。 きっと次節も「人ごみの魔術師」はやってくれるだろうし、 これは優勝の目も見えてきたかな。 ただ、心配なのは岡野だ。脱臼らしいが重傷じゃなきゃいいが。 皆さんの感想が山中さんのモチベーションとなり次のコラムとなります。 是非とも感想は「山中伊知郎コラム感想掲示板」までお願いします。 (山中さんも見て、書き込みをしております) <無断転用・転載を禁じます>
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