| COLUMN●コラム | ||||
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第8回 (2001年4月2日) 「よく出来た芝居」 ■ゲットゴール 感慨深いですね。 試合が終わって、ヒーローインタビューに呼ばれたのが、あの福田。 力強く言ってくれましたね。 「J1に上がっての最初のゴールは駒場で決めたかった」 決意した通りに決めてくれた。 それも世紀の変わり目を挟んでの、 2年ぶりのJ1勝利を決定づける最高のゴールを。 1999年11月27日、 実にあの福田の苦いVゴールがあってから490日がたっている。 長かったねェ。 はからずもサポーター席からはベートーベンの第9が聞こえて来たが、 この日にこんなに相応しい曲はなかった。 選手たちのサポーターへの挨拶もいつになく念入りで、 ようやくこの日が来た喜びは、ともかく格別だ。 雪は降り止んだとはいえ、 自転車のハンドルを持つ手も凍りつきそうな季節はずれの寒波の中、 わざわざ駒場まで足を運んだ甲斐があったというものだ。 ■アビスパはベテランボクサー でも、前半は不安だった。 レッズの選手、ことに、前へ後ろに、 いわゆるフリーランニングを骨惜しみせずにやっていた小野には 勝利に対するギラギラした意欲は感じたものの、 相手がどうもノラリクラリのアビスパで、あっちのペースにはまるとマズいな、 と頭に悪い予感がよぎる。 アビスパって、ちょうど引退間近だがかつては 世界のトップクラスにいたベテランボクサーみたいなチームなのだ。 全盛期のスピードはない、しかしテクニックはうまいし、 危なくなるとクリンチで相手のパンチをうまくかわして 序々に流れを自分の方に引き込んでいく。 トゥットなんて、アビスパのDFにやたらオフサイド取られるんで、 なかなか前に飛び出せなかったからね。 つまりボクシングのクリンチが、サッカーのオフサイドトラップだ。 考えてみたら、 キーパーの小島にDFの小島、三浦、前田にMFの野田、FWの服部か。 よくこんなメンバー集めたなってくらいに、ベテランの技巧派ばっかり揃ってる。 お陰でガリガリとスピーディーに前に出てくる突破力がない分、 レッズのDFのアラがあまり目立たなかったのは助かったが。 前半終わって0対0の時は心配になった。 このまま無得点で延長まで行くと、 選手より先にサポーターの方が焦りだせすかもしれない。 その意味で、後半開始直後、 トゥットの個人技で決めたとしかいいようのない1点目は何とも効果的だった。 もうあれで私は99%勝利を確信してしまったもんね。 一度主導権を握ってさえしまえば、アビスパにはそれを奪還するパワーはない。 逆に「切り札」福田が残っているレッズの方が圧倒的に優位なのだ。 ■スーパーサブ・福田 それにしても、昨年後半から、私を含めたレッズ・サポーターの多くが、 「スーパーサブ・福田」 への華麗なる転進を願っていた。 そして現実になってみると、 改めて、これほどレッズにとって心強く、相手にとってプレッシャーになる存在はない。 セレッソ戦でもそうだった。たとえ2点負けてても、福田が登場さえすれば、 サポーターはいずれ取り返してくれる気になってしまうのだ。 現に、取り返した。 きょうもまた、残り15分で現れた福田の動きは全盛期と変わらない、 時にはそれを超えて見えるくらいに軽やかなものだった。 本人は先発出場へのこだわりもあるかもしれない。 しかし、きょうの動きを90分続けるのはどうだろう? 少なくとも、福田と同世代のアビスパの三浦や前田は、 後半、明らかに バテていた。 芝居だって一番拍手を集める花形役者は最初からは出ない。 出るぞ、出るぞと観客を期待させておいて、 その雰囲気が最高潮に達した時に登場して見得を切るのだ。 きょうはみんなよかったなァ。小野はよく走ったし、 トゥットも相手DFの包囲網にまごつきながらもいいとこで決めてくれたし、 西部も危ないシュートをよくはじき飛ばしてくれたし。 みんな自分の与えられた役柄をキチッと果たしている。 最後にほんのちょっと登場して、一度は敵のアタックにあって倒れつつ、 やにわに走り出して拍手を浴びた岡野も、岡野なりの役割を演じていた。 よく出来た芝居を見たような試合だった。 皆さんの感想が山中さんのモチベーションとなり次のコラムとなります。 是非とも感想は「山中伊知郎コラム感想掲示板」までお願いします。 (山中さんも見て、書き込みをしております) <無断転用・転載を禁じます>
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