★Vol.12 レッズを追って‥‥2004年への漂流。 「広告界に戻って、サッカーは浦議とPRESSに専念すると言ってたくせに」 「白状しろよ。やっぱ居ても立ってもいられなくなって、 ![]() 本まで書いちゃったんでしょ?」 いろんな仲間に、散々に言われてしまった……。 マジで1年ぶりの更新になっちまいました。 皆さん、お久しぶりです。 「このまま終わっちゃうんですか?」 「いまごろ何処を漂流されているのでしょう?」 ご心配いただき、何度もメールを下さった 某読者グループの方々。 本当にゴメンナサイ&アリガトウ。 この場を借りてお詫びとお礼をお伝えしつつ、 『駒場漂流・第12稿』お届けします。 ■2004年への漂流 〜拙著新作について〜 私事ながらシーズン2003はレッズの躍進に反し、 プライベートでは受難の年でした。 ソウルの永井雄一郎のゴールには本当に狂喜したけれど、 伸二の凱旋ゲームとミスター・レッズの引退試合では、 こころに抱いていたあるレッズ像の終焉を思い知らされました。 このふたつのゲームが終わった後に、話を聞かせてくれた BOYSの相良君やクレージー・コールズ時代からのサポの皆さん。 彼らの言葉を聞いて、「ああ、本当にレッズのひとつの時代が終わったんだな」と……。 その後家族に不幸があり、仕事仲間にも状況の変化が相次ぎました。 『生還』から始まって、思いがけずに“三部作”まで書かせて もらったんだ。今年は著作はヤメにしよう。書くのはせいぜい コラムくらい。1市民の1サポーターに戻って、 シンプルにレッズを観てレッズを応援しよう。そう思ってました。 でも、皆さんも同じだと思う。 「11.03」当日。試合自体はもちろんのこと、 あの夜の浦和市街の様子には痺れましたよね。 勇躍、国立競技場から凱旋してくるレプリカ姿のサポーターたち。 その「参戦組」を出迎える、店々や駅周辺での応援に 甘んじたと思われる「留守部隊」の若者たち。 感極まって抱き合っている両者の姿を眼にしたのが、 花火の轟音が響いている中仙道でした。 カメラのフラッシュの光は数知れないし、駅前改札あたりに までおよぶTVのリポーターや撮影照明があふれ返っていた。 “条件反射”とでも言うのでしょう。この瞬間を伝えるマスコミの中に、 自分が加わっていないことが何とも許せなくなってきて……(笑)。 さらに本音を言えば、横行しているTVカメラが、 あの「2002の騒乱」と同列でこれらの“浦和のシーン”を捉えていた としたら嫌だなあ、という意識があったのも事実です。 ここは中山道なんだ。何度も何度も「全国制覇」を果たした イレブンが凱旋の折にパレードをした道なんだ。 数知れない勝負の後に、レッズ・サポーターが 帰路を歩んだ道なんだ。 ![]() そういうことを、分かった上で取材してくれているのか……。 そんなこころの叫びってヤツがありました。 この中山道には、多くのサポの皆さんにはおなじみの 「S書店」という本屋があります。 店長はKさんという方で、実に気さくでユーモアを解する紳士です。 今回の著作一部を明かしてしまいますが、 以下は拙著『帰郷』出版の折に販促会議なんぞを 用意して下さった際の彼とのやりとりです。 「豊田さん、今度こそレッズは優勝できますか?」 「きっとやってくれると思います。でも、そうすると…… 店長は大変な目に会われるかもしれません」 「何故です?」 「狂喜したレッズ・サポーター諸君が、 こちらの1Fのショウウインドウを叩き壊すかもしれない」 県北西部の秩父郡の出身。定年が近づく現在まで、変わらず レッズの勝利を祈ってきたというK店長は眼を閉じながらこう言われました。 「ああ、私はその後片付けをしてみたい!……待ち遠しいです ねー。そのくらいの騒ぎならぜひやらかして戴きたい。 それを見届けてから、私はここを退職します」 私たちには、それぞれに大切にしてきた「フットボールの思い出」があります。 かけがえのない「11.03」においてこころに残る場面に出会った場所。 それが中仙道であったことも、何かの縁だと思いました。 浦和の街が持つこういうエピソードを書き残すことは、やはり レッズのホームタウンの住民のひとりとしてやっておかなくてはならない責務。 そう思えました。 かくして2003年、11月10日。遅きに失した私の取材はスタートしました。 17歳で“高校三冠”達成。19歳の代表デビュー戦で初ゴールを 韓国相手に決めてみせた永井良和さんが、あの日々以降に 故郷・浦和に帰っていない理由。浦和高校52連勝の全盛時の 名FWであった轡田隆史さんが口にしたチームメイト川淵三郎キャプテンの思い出と、 レッズおよびホームタウン浦和に向けての温かい提言……。 取材過程で聞くことができたこれらのエピソードは、 苦しいことも多かった私の2003年の大切な財産となりました。 そしてこれは、レッズと歩みをともにする私たちレッズ・サポータ ーにとっても示唆に富んだメッセージであることを知りました。 浦和とレッズを巡る人々の人生には、それぞれに「漂流」がある。 でも、皆が等しくレッズの確かな「成長」を熱望していることを改めて痛感した次第です。 予め申し上げてしまえば、文中に現役レッズの監督や選手等の オリジナル取材は一切ありません。その部分を期待する方々には、 当然に不満が残る作品かもしれない (ナビスコ決勝や、鹿島とのリーグ最終戦の客席の様子は延々々々と続きますが……笑)。 でもレッズの未来には、この浦和というホームタウンこそがか けがえのない標(しるべ)であることを自分なりに感じたがゆえに、 敢えてそこは徹底させてあります。 「いままでの浦和」を支えた人々。「これからの浦和」を支える人々。 多くの声と想いと足跡をできるかぎり忠実に再現した著作としました。 よろしかったらご一読ください。感想など戴けるとなおさら嬉しいです。 ![]() 2004年 3月3日 豊田充穂 E-mail tn_ad_office@yahoo.co.jp 「駒場漂流過去ログページ」へ 皆さんの感想が豊田さんのモチベーションとなり次のコラムとなります。 是非とも感想は「豊田充穂コラム感想掲示板」までお願いします。 著書紹介 <無断転用・転載を禁じます> |
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豊田 充穂 (とよた・みつほ) |